• 2018/11/15

アルミニウム造形品のスキャンストラテジーと金属組織の関係

金属3Dプリントでは、レーザースキャンにより生じるビードを並べて面を形成しその面を積層して立体物を造形します。粉末床溶融結合(powder bed fusion)タイプのレーザースキャン1本の線幅はおよそ100µm前後であるため造形中は、局所的な溶融・凝固が高速で繰り返されています。そのため、スキャンストラテジー(スキャンの長さ、方向、回数などのパターン)によって金属組織が異なることが知られています。L.Thijs[1]らがAlSi10Mgに適用したスキャンストラテジーのうちの3つをFig.1に示します。各ストラテジーは (a)一方向、(b)同一層内で90°回転させるダブルスキャン、(c)隣り…続きを読む


  • 2018/11/01

アルミニウム造形品の微細組織

No.4[1]で紹介した、金属3Dプリントの水平積層断面では、レーザーの走査跡が見られました。メルトプールと呼ばれるその走査跡は、金属3Dプリントの断面観察では一般的に見られる組織です。   Fig.1はAlSi10Mgの水平断面組織のSEM画像、Fig.2はFig.1中のC部の拡大画像を示しています[2]。サブミクロンサイズのグレーの部分はAl、白い網目状の部分はSiの組織であり、メルトプール境界ではSiの網目状組織が大きいことが確認できます。その違いにより、Fig.1のようにマクロに観察した際にメルトプールが確認可能になるのです。 Fig.2中の微細組織のサイズの違いは、凝固時の…続きを読む


  • 2018/10/15

Ni基超合金の造形とHIP処理の必要性

   析出強化を伴うNi基超合金は、高燃費の航空エンジンの開発を可能にする材料科学の大きな進歩の1つです。1950年代以来このクラスの超合金は、1000℃までの使用温度で優れた耐クリープ性、耐酸化性、低疲労き裂進展速度、高降伏応力を達成するために継続的に開発されておりこれらの超合金は、γ’-Ni 3(Al、Ti)またはγ”-Ni3Nbといった金属間析出物によって強化されます。金属3Dプリンタ用のNi基超合金はINCONEL718が一般的です。(SOLIZE Productsでも受託造形を承っております)その理由は、溶接割れを起こしやすい添加元素であるγ’構成元…続きを読む


  • 2018/10/01

銅の造形

パウダーベッド方式の金属3Dプリントでは、各種の材料が使われていますが今後開発が進んでいくと思われる材料の一つに銅があります。銅は熱伝導率が約400W/m・Kで、アルミの約2倍、ステンレスの約20倍と大きく、放熱用途などに使われています。しかし、3Dプリントするのが難しい材料でもあります。金属3Dプリントができるようになれば、銅は放熱フィンや熱交換器など複雑な部品の造形に向いている材料と考えられており、研究が進められています。電子ビームを使うタイプの3Dプリントでは高密度のものが作れますが工法の制約から微細なものを作るのが難しいといわれています。一方、レーザーを使うタイプの3Dプリントでは、密…続きを読む


  • 2018/09/15

タングステンの造形

パウダーベッド方式の金属3Dプリントでは各種材料が使われていますが今後開発が進んでいくと思われる材料の一つにタングステンがあります。タングステンは比重が19.3と大きいため放射線遮蔽能力が高いことと、鉛と比較して環境負荷も小さいため放射線遮蔽材として使われたり融点が約3400℃と高いため熱処理炉など高温になる材料として使われたりまた非常に硬く合金化して工具として使われたりと、他の金属にない特性を持っています。しかし、同時に加工が難しい材料として知られています。金属3Dプリントでは、ニアネットシェイプで作ることができるためより複雑な形状を作れるようになることが期待されています。タングステンの造形…続きを読む