No.4[1]で紹介した、金属3Dプリントの水平積層断面では、レーザーの走査跡が見られました。
メルトプールと呼ばれるその走査跡は、金属3Dプリントの断面観察では一般的に見られる組織です。

 

Fig.1 AlSi10Mgの水平断面組織

Fig.1 AlSi10Mgの水平断面組織

Fig.2 Fig.1のC部の拡大画像

Fig.2 Fig.1のC部の拡大画像

Fig.1はAlSi10Mgの水平断面組織のSEM画像、Fig.2はFig.1中のC部の拡大画像を示しています[2]
サブミクロンサイズのグレーの部分はAl、白い網目状の部分はSiの組織であり、メルトプール境界ではSiの網目状組織が大きいことが確認できます。
その違いにより、Fig.1のようにマクロに観察した際にメルトプールが確認可能になるのです。

Fig.2中の微細組織のサイズの違いは、凝固時の冷却速度に関連しており、冷却速度が高いほど結晶組織は小さくなります。
メルトプール中の凝固時の冷却速度は以下の通りです。
冷却速度は温度勾配Gと凝固速度Rの積である|GR|で表され、冷却速度|GR|はメルトプールの中心で最も高く、メルトプール境界で最も低くなります[3]
その結果、Fig.2中のMP coarse部はMP fine部に比べて組織が大きくなっています。
また、メルトプールの外側にはSiの網目が切れている熱影響部(HAZ)が存在します。

この金属3Dプリント特有の微細組織は、高い硬度に寄与しています。
ダイキャストのAlSi10Mgを時効処理した製品と同等の硬度が造形したままの状態で得られるため
熱処理を経ずに高硬度が得られることをうまく活用すれば、製造フローの改善も期待されます。

 

参考文献
[1] 金属3Dプリント技術情報 No.4:金属3Dプリント特有の鉛直断面組織
[2] LoreThijs et al., Fine-structured aluminium products with controllable texture by selective laser melting of pre-alloyed AlSi10Mg powder, Acta Materialia, 2013; Vol. 61: p1809
[3] Kou S. Welding metallurgy. 2nd ed. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons; 2003.

 

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